獣医疫学会について of JSVE

会長  山本茂貴
沿革  平成7年4月4日設立


獣医疫学とは
 疫学は19世紀中頃,英国において伝染病予防を目的として誕生しましたが,その後急性伝染病や慢性伝染病に対する対策が進み,成人病や家畜の生産病が増加するにつれて,疫学の課題は非伝染性疾患の発生要因の解明へと広がりました.最近はさらに,積極的に健康現象多発の機序を探って健康の増進や,家畜の生産効率の向上に役立てることを目標とした疫学や,臨床医学における科学的観察とその観察結果 を解釈するための方法論としての臨床疫学も発展しつつあります.また,動物の福祉,環境・生態系の管理への応用も考えられており,疫学の目的は時代とともに変遷し,多様化しております.
 最近の情報科学の進歩により,獣医疫学が利用できる統計的方法や情報処理手法が次々と開発されており,疫学はこのような多様な要請にも応えやすくなっております.しかし一方では,コンピュ-タによる情報処理が進展して多様な疫学デ-タを扱う場面 が増大するにつれ,これらの多くが実験デ-タに適用されるFisher R.A.の3原則 (反復,無作為,局所管理)を満たさないために,新たな疫学分析手法が必要となり,疫学研究への要望が高まっております.
 人口の爆発的増加が予測される21世紀を目前にして食糧・資源・環境問題の解決は人類最大の緊急課題になっておりますが,獣医疫学はこれらの問題解決に対しても極めて高い適性を持つ科学として期待されております.たとえば,食糧問題に関しては動物生産の超効率化が求められる反面 で,動物の生命倫理,生産物の安全性,環境保全等との相互バランス保持などが,また,資源問題に関しては,新たに高等動物資源の社会的・生態学的機能の解析と応用などが,さらに,環境問題に関しては土地開発に伴う野生動物遺伝資源の絶滅と人畜共通 感染症を中心とした emerging infectious diseaseの出現などが極めて重要な問題となっております.しかし,これらの問題はいずれも生物集団と環境の総合的,生態学的把握があってはじめてアプロ-チが可能であり,疫学を抜きにしての解決は図り得ないと思われます.

 現在,世界的に大きな社会問題となっている腸管出血性大腸菌感染症,Salmonella Enteritidis食中毒,牛伝染性海綿状脳症(狂牛病)なども動物生産に対する過剰な人間活動の結果 に由来する特徴的な疫学現象と考えられます.また,国際的な貿易自由化と食品の安全問題も緊急な課題となっております.このように,疫学の導入なくしては解決し得ない問題が山積しております.しかし,わが国においては,医学領域,獣医学領域ともに疫学研究に従事する者が少なく,大学等における疫学教育も不足しており,関係者の疫学に対する理解も十分とは言い難い状況です.
獣医疫学会の目的と活動
 獣医疫学会は獣医学とその関連領域における獣医疫学の研究・教育の進展と普及を目的として次の活動を行います。 (1)機関誌として原著学術雑誌「獣医疫学雑誌」(当面年2回)を発行し、会員の獣医疫 学に対する調査・研究成果の発表の場を提供いたします。また、獣医疫学に関す る手法等の解説や実践活動についての会員間の学術交流、提言等の場としても 活用します。
(2)シンポジウム、講演会、研究発表会を年1回以上開催します。
(3)情報通信における獣医疫学会のホ-ムペ-ジを開設し、会員相互間の情報交換を 行うとともに、機関誌文献、疫学情報のデ-タベ-ス化を推進します。
(4)海外の獣医疫学関係の学会、集会および研究者等とも積極的な交流を図ります。
(5)その他、会員の要望に応じた疫学勉強会、統計・情報処理講習会、デ-タ解析相談なども随時行います。

獣医疫学会事務局:
〒305-0856 茨城県つくば市観音台3-1-1
独立行政法人 動物衛生研究所 予防疫学研究室内
Tel 0298-38-7770, Fax 0298-38-7880
e-mail:info@vet-epidemiol.jp